飯田氏は巣から落ちて迷子になったオナガのひなを拾ってから、
ずっと大事に育てている。
鳥は大きくなって、しきりに家の中の「かけら」を集めては
くちばしに挟んで飼い主に持ってきてくれる。
それは新聞紙をちぎった断片だったり、金色のひもだったりする。

被写体は植物以外はすべて飯田氏の創作したものである。
それらは「何々のかけら」ではないが、
どこか何かの一部であるがごとく、想像を膨らませることが出来る。
宇宙の星々のかけらのようでもあり、細胞の断片のようでもあり、
見たこともないような微小の世界の破片のようでもある。
木々の枝先も空に向かってはかけらの一部なのだろう。
どれもミクロのなかに広大な世界を感じさせる作品である。

オナガがかけらを集めるように、彼も少年の頃の
好奇心のかけらを集めているような気がしてならない。
それはとても羨ましいことのように思える。

DAZZLE　村松真理子

1961年  東京に生まれる
1983年  東京工芸大学写真工学科 卒業

1994年  個展/ アートボックスギャラリー
1997年  個展/ アートボックスギャラリー
1999年  個展"COSMOS"/ 保加梨ファインアート
2001年  個展"COSMOS 進化と増殖"/ 保加梨ファインアート
2002年  個展"Fragment"/ DAZZLE